こんにちは。船橋市議会議員の中谷あやのです。
2025年(令和7年)第4回定例会において、「市民からの相談・要望・提案について」「旅館業・民泊について」をテーマに一般質問を行いました。

▶ 一般質問の録画
今回、特に強く問題提起したのが、住宅地における旅館業(簡易宿所)による近隣トラブルです。
目次
▶ ある日突然、隣が宿泊施設に
▶ 行政書士として感じる制度の変化
▶ 民泊の規制が強化される一方で、簡易宿所は規制の網の外に
▶ そもそも「簡易宿所」とは何か
▶ 民泊よりも簡易宿所の方がルールが緩いという逆転現象
▶ 旅館業法は住民トラブルを想定していない
▶ 船橋市には独自ルールがない
▶ 現状で住民が取れる対抗策の限界
▶ 市民の暮らしを守るのが行政の役割
▶ 一人で悩まず、声を上げてください
ある日突然、隣が宿泊施設に
市民の方から、次のようなご相談が寄せられました。
ある日突然、隣接地に簡易宿所が開業し、不特定多数の宿泊客が頻繁に出入りするようになった。
穏やかな住宅街での生活が一変してしまった。
具体的には、
- 深夜まで続く宿泊客の話し声
- 私道への頻繁な車両の出入り、迷惑駐車
- マイクロバスが玄関前に止まり通行できない
- 呼び鈴を鳴らされる、私道でのたむろ
- 子どもが人混みをかき分けて登下校
- 敷地への無断侵入、たばこのポイ捨て
- 自転車を物色され、蹴られる行為
- 不特定多数が出入りすることへの強い不安
といった、日常生活に深刻な影響が出ています。隣接地に宿泊施設ができると、毎日がお悩み・不安・憤りの連続です。宿泊客の方にとっては「旅の恥はかき捨て」で、深夜まで大騒ぎの楽しい旅かもしれませんが、隣に住んでいる方にとっては、毎日の暮らしの場所です。解決するまで、お悩みから逃れることはできません。
毎日毎日、日々ストレスを受け続け、このストレスは、解決しない限り続きます。
行政書士として感じる制度の変化
私は20年以上前、行政書士として旅館業の許可申請を扱ったことがあります。当時の旅館業許可は、非常に厳格でハードルの高い制度でした。
しかし現在は、
- 住宅街の一戸建て
- フロントなし
- 無人運営
であっても、旅館業(簡易宿所)として営業できるケースが増えています。
旅館業法改正や建築基準法の緩和により、事業参入のハードルは大きく下がりました。一方で、住民の「平穏な生活」や「安心・安全」を守る仕組みは、ほとんど強化されていません。
民泊の規制が強化される一方で、簡易宿所は規制の網の外に
ごみや騒音などのトラブルが相次ぐ中、民泊をめぐって全国で規制強化の動きが進んでいます。新宿区では営業廃止命令が出され、大阪市では特区民泊の新規受付停止も始まります。
国も、2026年度に住宅宿泊事業法のガイドライン見直しを検討し、悪質事業者への行政処分を出しやすくする基準づくりを進めています。
しかし、ここに大きな問題があります。
これらの規制は住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく民泊が対象であり、旅館業法に基づく簡易宿所は、まったく別の制度なのです。
そのため、住宅地で深刻な被害が起きていても、「それは民泊ではなく旅館業(簡易宿所)なので対象外」として、住民保護の規制や指導が十分に及ばないケースが現実に起きています。
そもそも「簡易宿所」とは何か
旅館業には、
- ホテル・旅館
- 簡易宿所
- 下宿
という区分があります。簡易宿所は本来、
- ゲストハウス
- 山小屋
- 合宿所
など、多人数宿泊を想定した制度でした。しかし現在では、
- 一戸建て住宅
- アパートの一室
- 無人運営
といった形でも許可が出るケースが増え、見た目は普通の住宅でも「旅館業の宿泊施設」として営業できてしまいます。
民泊よりも簡易宿所の方がルールが緩いという逆転現象
民泊(住宅宿泊事業法)では、
- 年間営業日数の制限
- 周辺住民への説明努力義務
- 苦情対応体制の明確化
- 定期的な営業報告
などが義務づけられています。一方、簡易宿所では、
- 営業日数制限なし(365日営業可)
- 近隣説明義務なし
- フロント常駐義務の代替可
- 宿泊者名簿の定期提出義務なし
という状態になっています。結果として、「 届出制の民泊より、許可制の簡易宿所の方が実質的に規制が緩い」という本末転倒な状況が生じています。
そのため近年では、「民泊ではなく簡易宿所として申請すればよい」という流れが広がり、住宅地に簡易宿所が増えています。
旅館業法は住民トラブルを想定していない
旅館業法は本来、
- 衛生管理
- 建物の安全性
を目的とした法律であり、近隣住民の生活環境保護は制度の中心にありません。船橋市の説明でも、
旅館業法は敷地内の管理が対象であり、敷地外での迷惑行為には行政指導の法的根拠がない
とされています。つまり、
- 騒音
- ゴミ出し
- 迷惑駐車
- 私道・敷地侵入
といった被害が起きても、保健所は注意喚起しかできず、営業停止などの強い対応は極めて困難なのが現実です。
船橋市には独自ルールがない
最近では、多くの自治体で「 住民説明義務」「管理責任者常駐義務」などを条例や要綱で定め、住民の生活環境を守る動きがあります。
しかし、船橋市には現在、こうした上乗せ規制がありません。その結果、「法律上は適法でも、近隣の住民の生活実態としては深刻な被害が発生する」という事態が起きています。
現状で住民が取れる対抗策の限界
被害を受けている住民が取れる手段は、
- 裁判など民民での解決
- 警察への通報
などに限られます。しかし、どちらも根本解決には至らず、精神・時間・費用など負担ばかりが積み重なります。
本来、住民がここまで追い込まれる制度であってはなりません。
市民の暮らしを守るのが行政の役割
市民の安心・安全な生活を守ることは、行政の最も重要な責務です。私は現在、
- 船橋市独自の条例・要綱の制定
- 国への旅館業法改正要請
に動き回っています。そして何よりも、今回ご相談をくださった市民の方が一日も早く平穏な暮らしを取り戻せるよう、解決に向けて動き続けます。
一人で悩まず、声を上げてください
同じような被害に悩んでいる方は、決して少なくありません。「我慢するしかない」と諦める必要はありません。
市民の声が制度を変えます。そして、その声を行政につなぐのが、地方議員の役割です。
困っている方をひとりにしない。解決まで、一緒に向き合い、一緒に戦う議員として活動していきます。
これからも、市民の暮らしを守るために、粘り強く取り組んでまいります。
