船橋市議会 2025年(令和7年)第4回定例会 11月28日 中谷あやの一般質問

一般質問 目次


  1. 市民からの相談・要望・提案について
  2. 旅館業・民泊について

船橋市議会 一般質問録画

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【一般質問の書きおこし全文】

市民の皆様から、市役所の対応に関するさまざまなお声が届いております。

その中には、問い合わせをしたものの回答が得られず、どこに相談すべきか迷われた方や、担当課に相談したにもかかわらず問題が解決せず、不安や困りごとを抱えたまま過ごされている方の声も含まれております。

「市民の声を聞く課」は、そうした市民の方々にとって、最初に相談する窓口となる場合もあれば、他の部署では解決できず、切羽詰まった状況の中で「最後の砦」として頼られる存在でもあると認識しております。

今回は市民からの相談などについて、市民の声を聞く課に絞って伺います。
相談を受けた後の標準的な業務フローと関係部局との調整において、市民の声を聞く課の権限と役割はなにか。回答までにかかる平均日数はどれくらいか。緊急性のある案件については、どのような基準で判断し、対応しているのか伺います。

【答弁】

市民の声を聞く課は、市民から寄せられた市政に対する相談や要望関係を適切に関係部署につなぐ役割を担っています。

市政ポストや電子ポストと言った市長への手紙の業務フローについては、市民の皆さまから寄せられた要望等を市民の声を聞く課で受けたあと、関係する部署へ対応依頼等を行い、要望者へ回答を行っております。

なお、市政運営においては、それぞれの事業を担う所管部署が責任を持って対応することが前提にあり、市民の声を聞く課では、個別の事業内容や要望者への回答について、所管部署を超えて政策判断に介入する権限はございませんが、市民に寄り添った回答になるよう働きかけるほか、各部署の意見を聴取し、調整やすり合わせが円滑に進むよう努めているところです。

また、市民の皆さまへの回答については通常2~3週間ほどのお時間を頂いておりますが、倒木や道路の陥没といった、市民の生命や身体への被害が発生するような緊急性のある案件等については、正式な依頼前に速やかに所管部署や関係機関へ対応をお願いしております。

【中谷】

ご答弁ありがとうございます。

 次に、市民対応に関する評価と改善について伺います。
市民の声を聞く課に相談したものの、「冷たく感じた」「親身になってもらえなかった」といった市民の声が届いております。

日々の対応の質を確認するチェック体制や評価の仕組みは設けているか。相談後に“問題解決したかどうか”を把握し、改善につなげる取り組みがあるか。相談者へのフォローアップのアンケートや満足度調査等を実施しているのか。実施していない場合は今後の導入検討について伺います。

【答弁】

市民の声を聞く課では、日頃より、市が掲げている「接遇日本一」を目指し、寄り添った対応や親身になって話を聞くこと、相談に至った背景や状況等も把握するよう指導しており、職員も実践しております。また、日々の業務を行う中で、職員間での事例共有やアドバイス等を通じて対応の振り返りや改善等にも努めているところです。

しかしながら、いただいたご指摘は真摯に受け止め、今後は、対応した案件の振り返りを丁寧に行ってまいります。

なお、相談後の問題が解決したかどうかを把握する取り組みについては、市民からの寄せられる要望・相談は、年代や背景など様々であり、状況に応じた対応が必要であることから、一律の評価体制を用いることは、なじまないと考えております。今後におきましても、寄り添った対応を心がけてまいります。

【中谷】

ご答弁ありがとうございます。対応した案件の振り返りを丁寧に行っていただけるとのこと、よろしくお願いします。

市民の声を聞く課に相談された後、解決に至らず、ご相談に来られる市民の方もいらっしゃいますが、もう一歩、市民の思いに寄り添った対応ができれば、救われる方がいるのではないかと感じることもありますので、振り返りの中で改善していただければと思います。

最後に、 市長・副市長の関与について伺います。
市長・副市長が市民から寄せられる意見をどの頻度で確認し、回答文をどの範囲まで目を通すのか。市長から具体的な指示が出される場合、それがどのように改善や政策反映につながっているのか伺います。

【答弁】

市長への手紙で受付を行った要望等については、原則すべて市長・副市長が目を通しており、その段階としては、「要望を受理した時点」で要望内容の確認をおこない、「回答をした時点」で回答文の確認をおこなっております。

市長や副市長が要望内容を確認した中で、事業の改善や検討を行った指示があった場合は、指示内容に応じて所管部署において、対応方針の見直し、運用改善、制度面での検討などを行い、その結果を市長・副市長へ報告する流れとなっております。

【中谷】

市長・副市長が寄せられた意見にすべて目を通し、必要に応じて指示を出しているとのことです。市長からの回答は、市民の皆様にとって重みがあります。今後も市民ひとりひとりに寄り添う市民対応をお願いします。

近年、旅館業や民泊が、不動産投資の一形態として脚光を浴び、全国的に施設数が急増しております。インバウンド需要の回復も追い風となる一方で、住宅街における深刻な近隣トラブルが相次ぎ、全国の自治体が規制を強める動きが広がっています。

 本市でも、市民の方から、隣接地に旅館業の簡易宿所が開業し、生活環境が一変してしまったという深刻なご相談が寄せられております。

相談内容としては、宿泊客の深夜まで続く話し声、私道に車両の頻繁な出入り、違法駐車、時にはマイクロバスを玄関前に止められ通行できない、呼び鈴をならされる、私道でのたむろ、その人混みを子どもたちがかき分けての登下校、相談者の敷地への無断侵入、たばこのポイ捨て、自転車を物色され蹴られるといった行為、そして、不特定多数の宿泊客が絶えず出入りすることによる強い不安など、住民の「平穏な生活」や「安心・安全」が脅かされている状況です。

 私も現地に伺い、直接お話をお聞きしました。ご相談者の方は、日当たりの良い静かな住宅環境の中で、長年家族とともに穏やかに暮らしてこられた方ですが、見知らぬ人が絶えず出入りし、恐怖心から雨戸も開けられない日々が続いているとのことです。
閉め切られた雨戸と張り詰めた生活の緊張感を前に、ある日突然、平穏な暮らしが一変してしまったご心痛の大きさを思うと、この問題を決して看過することはできません。

 マンションの一室や住宅地の戸建てで宿泊業を営む場合、民泊と旅館業という二つの方法がありますが、民泊は営業日数の制限や、周辺住民への対応など、一定のルールが課されています。

 一方で、旅館業の簡易宿所は、旅館業法改正によるフロント常駐義務の緩和や、建築基準法改正により、新規参入がしやすくなりました。また周辺住民への説明義務もないので、近年では民泊ではなく、住宅を利用した旅館業の「簡易宿所」の許可を取得するケースが増加しています。

 簡易宿所や民泊は、適切に運営されれば地域の魅力向上や空き家活用につながる一方で、住宅街に突如として開設され、近隣との調整が十分でない場合には、このように住民生活へ深刻な影響を与えかねません。今回の事例は、その象徴的な一つであり、本市としても強い危機感をもって向き合うべき課題であると考えます。

以上を踏まえ、本市としての現状認識と今後の対策について伺います。
まず前提として、今回のご相談の簡易宿所は、玄関帳場等がない旅館業の代替え設備での許可となります。ご相談者さんからは、保健所から「事業者の責任範囲は敷地境界内に限られ、敷地外は行政指導の対象外である」と相談者・事業者双方に説明があったと伺いました。

その結果、宿泊客の迷惑行為について事業者へ改善を求めると、「敷地外は責任ではない。宿泊客に文句があるなら自分で言え」といった対応があり、事業者が近隣への配慮や改善を行わないという事態が生じています。

簡易宿所の敷地外でおこる宿泊客の迷惑行為に対し、保健所はどのような対応ができるのか?事業者への情報提供後も迷惑行為が続く場合、行政指導・改善命令など何らかの対応ができないか、本市の見解を伺います。

また、全国自治体で進む規制強化の動向を、本市としてどのように把握しているか。住民の生活環境を守るため、旅館業に対する条例・要綱など独自ルールを整備すべきと考えますが、市の見解を伺います。

【答弁】

簡易宿所の敷地外でおこる宿泊客による迷惑行為への対応は、旅館業法が営業者に求める規制範囲を超えることから、保健所としては近隣等からの苦情があった場合には、営業者へその内容を情報提供しております。その後も宿泊客による迷惑行為が続く場合においても、現状では行政指導等の強い指導を行う法的根拠がないことから、継続して営業者へ注意喚起を行うこととしております。

全国自治体の動向につきましては、関東1都6県及び全国の指定都市・中核市について旅館業に関し「近隣住民への事前説明」、「近隣住民からの苦情への対応」、「従事者の常駐義務」等を条例・要綱で独自規制している状況を確認したところ、各規制の制定時期や有無については自治体ごとに差がみられる状況であることを把握しています。

住民の生活環境を守るための、旅館業に対する条例・要綱などの独自ルールにつきましては、宿泊客の迷惑行為により暮らしの安全が脅かされている状況が法制度において従来想定されていなかった課題であれば、まずは国へ、地域でこのような問題が生じ得るということを情報提供していきます。

保健所としては、市民の皆様の暮らしや事業者の活動を含めて、安心安全で豊かな生活環境を守っていくことは大切な責務であると考えております。市内で旅館業の利用者によって市民の安心安全が脅かされるという状況に対しては、これまでも他自治体の取組み等の情報収集にも努め、現行制度の中でできる限りのこととして営業者への注意喚起をしてまいりました。 しかし、これまでの取組みでは解決しない状況が続くようであれば、市民の皆様の声に耳を傾け、引き続き課題解決のためにいかなる方法が効果的なのかを考え、法との整合性を図りながら必要な対応ができるように努めてまいります。

【中谷】

ご答弁ありがとうございます。
現在の旅館業法では、敷地外の宿泊客による迷惑行為への行政指導などの強い指導はできないとのことです。今回、保健所の担当の方と沢山お話をさせていただいて、法的根拠のないことはできないことを理解し、法令上の要件を満たしている許可申請に対しては、許可せざるを得ないこともわかりました。今後も引き続き、事業者への注意喚起をお願いしたします。

また旅館業が改正された当時は、フロント常駐義務があり、今のようなフロントがない無人での営業により、敷地外での宿泊客の迷惑行為がおこることが予測されていなかったのだと思います。

現在の状況にあった形に、国に旅館業法の改正を要請していただくことを強く要望いたします。また都内での簡易宿所の許可は厳しくなってきておりますので、本市での許可申請も増える傾向にあるかと思います。条例や要綱など、独自規制の制定も早急にお願いいたします。

法改正や独自の規制については、すぐに実現することが難しい点も理解しておりますので、現状の制度で、今後も続く許可申請について質問です。

建築基準法上、私道であっても位置指定道路の場合は、旅館業の建築基準法上の接道要件を満たすとされています。しかし、位置指定道路は市の管理道路ではなく、維持管理は私道の共有者が行うもので、陥没や補修、環境改善も住民負担となります。

 今回の相談の事案では、私道での迷惑行為について、繰り返し市に相談されていますが、市からは「私道は市が介入できず、隣同士で話し合うしかない」と説明されたとのことです。しかし、許可後に住民と事業者で話し合って解決せよという対応は、地域コミュニティの悪化や訴訟リスクを高めるもので、非常に問題があります。

今後旅館業の許可申請があった場合は、まず周辺住民へ説明をしてくださいと指導していただくことはできないか伺います。

【答弁】

申請に伴う周辺住民への説明は、法令に基づく指導としてはできないものの、営業していく上でのトラブルの未然防止として、申請者へ助言することは可能と考えております。

【中谷】

ありがとうございます。トラブル未然防止として、申請者へ周辺住民への説明の助言をお願いいたします。

次に固定資産税について伺います。
今回、市民の方から相談のあった簡易宿所は、建物の謄本上の種類が「居宅」のまま営業されています。登記上は居宅であっても、実際には旅館業の簡易宿所を営んでいる場合、固定資産税の評価において住宅用地特例の対象外となるか伺います。

【答弁】資産税課

登記上は居宅であっても、現況として当該家屋を宿泊業のみで利用している場合には、住宅用地特例適用の対象外になります。

【中谷】

ご答弁ありがとうございます。住宅用地特例が適用されなくなると、土地の固定資産税はおおむね4倍となる可能性があるとのことです。固定資産税は本市の大切な収入となりますので、正しく税金を納めていただくことが必要かと思います。

今回のご相談の事案のように、建物の用途変更の登記がなされない場合、資産税課で建物の用途が住宅から旅館業に変わったことを把握することは難しいと考えますが、今後は許可後に保健所から資産税課に報告を入れていただくことは可能か伺います。

【答弁】

所管課の要請に応じて、施設所在地等の情報を許可後に提供することは可能と考えております。

【中谷】

ご答弁ありがとうございます。ぜひ連携して情報提供をお願いします。

また念のため法務局に確認したのですが、所有している不動産の建物の種類が居宅から旅館又はホテルに用途が変更した場合、不動産登記法上は一か月以内に変更の登記をするように定められており、変更していないことが発覚した場合は過料が科される可能性があるとのことです。こちらについても、周知していただくことを要望いたします。

【中谷】

本市の保健所が許可した旅館業の営業によって、近隣住民の平穏な生活が深刻に脅かされています。この件につきましては、市民の声を聞く課にも相談されており、市長名で公印を押された回答書も市民の方に届けられておりますので、市長も本件の概要についてはご存じのことと思います。回答を受けた市民の方は、大変驚き絶望されておりました。

 また、町内会でこの問題を取り上げたところ、別のご家庭でも、スーツケースを持った方々が誤って家に入ってこようとしたり、呼び鈴を鳴らされたりするなど、不審な事例が複数確認されており、近隣トラブルではなく、地域全体の課題へと発展しております。

 先ほど申し上げたとおり、簡易宿所や民泊は、適切に運営されれば地域の魅力向上や空き家活用につながる可能性を持っています。またおもてなしの心を大切にしながら、近隣に丁寧に配慮し、地域貢献しながら事業を営むまじめな事業者の方々も多くいらっしゃいます。

 船橋市は成田空港と東京の間に位置し、インバウンド需要が今後さらに増加する可能性があります。本市として、近隣住民の生活環境を守りつつ、地域に愛される宿泊業のあり方やルール作りを進めていくことを要望して質問を終わります。

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