住宅街の一軒家で旅館業が許可される現状―簡易宿所の問題の解決へ

船橋市議会議員の中谷あやのです。
旅館業・民泊に関するトラブルについて、問題を調査・整理するとともに、船橋市での解決に向けて継続した活動をしておりますので、報告させて頂きます。

目次


▶ 旅館業・民泊に関するトラブルについて
▶ 令和8年第1回定例会においても、市政執行方針及び議案質疑
▶ 議案質疑の「旅館業・民泊について」の書き起こし全文
▶ 一人で悩まず、声を上げてください


旅館業(簡易宿所)のトラブル解決に向けて、国と自治体の両面から動いています。
昨年の2025年(令和7年)第4回定例会において、私は旅館業・民泊に関するトラブルについて一般質問を行いました。

【民泊トラブル・旅館業問題】 ― 船橋市議会議員 × 行政書士の視点から ―

その後、国会議員の方のご協力により、厚生労働省に対して旅館業制度の問題点について直接お話しする機会をいただき、国の見解や回答をいただくことができました。
その内容は船橋市保健所にも共有させていただきました。保健所の担当の皆さまにも迅速にご対応いただき、まずは

旅館業と周辺地域の生活環境との調和を図るために必要な事項に関する要綱

を制定していただくこととなり、3月12日から施行される予定です。

また、旅館業の条例改正について検討するため、大学などの学識経験者、法律の専門家、自治会関係者、警察などを委員とする「あり方検討委員会」を設置するための報償費が令和8年度予算案に計上されました。

条例改正には一定の時間がかかるため、まずは要綱による対応が進められることになります。
しかし、要綱には罰則規定がないため、実効性のある対策としては、できるだけ早い条例改正が必要だと考えています。

一方で、この問題は自治体だけで解決できるものではありません。

そもそも現在のトラブルの多くは、国が定めた旅館業制度の仕組みによって、住宅街の中でも一軒家でホテル・旅館の許可(簡易宿所)が取得できてしまうことに起因しています。
見た目は普通の戸建て住宅のため、近隣の方々はそれが旅館業の施設であると気づかず、「民泊トラブル」として認識してしまうケースが多くあります。

民泊については国会でも問題意識が共有されつつありますが、旅館業の「簡易宿所」による住宅地トラブルについては、まだ十分に認知されていないのが現状です。

そのため、昨日は参議院議員会館を訪れ、国会議員の方々にこの問題を知っていただく活動も行ってまいりました。

旅館業の制度改正に向けて、これからも地方から声を届けながら、一つひとつ取り組みを進めていきます。

旅館業問題については、令和8年第1回定例会においても、市政執行方針及び議案質疑をおこないました。

2月27日(金)5番目
①旅館業・民泊トラブルについて
②身寄りのない高齢者等サポート事業について
③アーティストバンクサイト構築について
④起業支援について

 市政執行方針及び議案質疑の録画

下記、市政執行方針及び議案質疑の「旅館業・民泊について」の書き起こし全文です。

【旅館業・民泊トラブルについて】

市政執行方針において、市内経済の振興を目的とした新たな商工業戦略プランに観光分野が追加されました。

一方で、観光振興を進めるにあたっては、来訪者の受け入れ体制と同時に、地域の住環境や市民生活との調和をどのように確保していくのかが課題です。

前回の議会で、旅館業・民泊トラブルについて質問させていただき、旅館業についての条例改正と要綱を制定する旨を要望させていただきました。

要綱については、「旅館業と周辺地域の生活環境との調和を図るために必要な事項に関する要綱」が制定され、令和8年3月12日から施行とのことです。こちらについては、迅速に対応していただき感謝申し上げます。また条例改正については、準備のための予算が計上されたとのことです。

要綱を制定にいたった背景と要綱のポイント、今後周辺住民からの苦情があった場合にはどのような対応になるか。営業者が適切に対応しなかった場合は、保健所はどのように対応するか伺います。

【保健所答弁】

制定に至った背景ですが、近年、全国的に旅館業における生活環境への悪影響が問題となっており、各自治体における規制の動きが広まっていることがあります。

本市においても、旅館業施設周辺において騒音、ポイ捨て等の宿泊者による行為で現に困っている市民がいることから、市として旅館業の営業に起因する周辺地域の生活環境への悪影響を防止し、旅館業と生活環境との調和を図るため、速やかに取りうる手段として、昨年より要綱の策定に向け検討を進めてまいりました。

この過程において、令和8年1月20日付で国から旅館業の衛生等管理要領を改正する旨の通知があり、「周辺地域の生活環境への悪影響の防止」についての考え方が国から新たに示されたことから、これを踏まえて要綱を策定したところです。

要綱の主な内容ですが、旅館業の許可申請前の手続きとして、説明会の開催等による近隣住民への事前周知、および事前の標識の設置を求めております。

営業開始後の対応としては、営業者の責務として管理者等の連絡先の外部への掲示、近隣住民等からの苦情等に適切かつ迅速に対応するための体制整備等を定めています。

苦情等につきましては、まずは連絡先として掲示された営業者の管理者等に直接申し出ていただき、営業者が要綱に基づき適切に対応することとなります。

営業者が適切に対応しなかった場合は、保健所といたしましては、まず要綱に基づき営業者へ指導を行い、改善を求めてまいります。改善が見られない場合は、状況に応じて旅館業法に基づく指導行うこととなります。

なお、法に基づく指導等の具体的な運用方法については、引き続き国への照会や他自治体の状況も参考にしながら、どのような方法が適切か検討を進めてまいります。


【中谷質問】

前定例会からできる限り早く、要綱を制定していただいたと思います。

しかし、今週もまた宿泊客のトラブルがあったとお聞きしており、近隣住民の方の生活環境は改善されておらず、より厳しい規制が必要です。

本予算では、条例改正に向け、専門家に意見をきくための報償費が計上されたとのことです。営業者が要綱に基づいた指導で改善しない場合、条例で罰則などを定める必要があるかと思います。

また営業従事者の「常駐」についても検討が必要かと思います。宿泊施設に管理者がいないことで、おこるトラブルは沢山あり、騒音やごみ問題だけではなく、火事や犯罪拠点として使われた事例もあります。

旅館業条例改正について、本市の見解と今後の見通し、スケジュールについて伺います。

【保健所答弁】

旅館業に関する規制のあり方につきましては、来年度、大学等の学識経験者や法律の専門家、自治会関係者、警察等を委員とする「あり方検討委員会」を設置し、どのような対策が効果的であるか、その方法を含め検討を行う予定です。

規制の具体的な内容については、この度制定し、3月12日に施行する市の要綱や他自治体の規制の効果、国の見解や市内の実情を踏まえ、委員会において協議いただくことを考えており、十分な議論を尽くす必要があるので、規制のあり方について結論を得るには一定の時間を要すると考えております。

【中谷質問】

先日、民泊や旅館業についての展示会に行ってきたのですが、民泊や旅館業が、地域に根ざした営みというよりも、投資先として紹介されている場面が多いことが印象に残りました。

一方で、近隣への配慮や、おもてなし、地域との関係づくりといった視点は、あまり感じられませんでした。

民泊や旅館業そのものを否定するものではありません。地域と丁寧に向き合い、近隣に配慮しながら、おもてなしの心を大切にして、事業を営んでいる方々も多くいらっしゃいますが、近隣の住民の方にとっては、日常生活で日々問題が起きていますので、条例による上乗せ規制を早く整える必要があると、改めて要望します。

最後に、条例を改正するまでにできる対策として、旅館業許可申請の際の添付書類について伺います。許可申請は、自治体ごとに審査基準や添付書類が異なり、許可申請の難易度が異なります。

無人管理・投資目的で旅館業を営む方の傾向として、なるべく許可申請が簡単な地域を選んで、旅館業の物件を選ぶという流れがあるようです。

本市では現在、旅館業の許可申請の際の添付書類として、物件が賃貸の場合は賃貸借契約書の添付が定められておりますが、建物の登記簿謄本は求められておりません。

謄本がないと、申請者の所有物件かどうかを確認することができません。

申請の際は、建物登記簿謄本を添付することが必要かと思います。また、旅館業の許可がでた後に、建物の種類を「居宅」から「ホテル・旅館」に変更することも必要です。

それから、接する道路が位置指定道路の場合は、道路の共有者の「私道の使用承諾書」の添付が近隣トラブル防止のために必要かと思いますが、本市の見解を伺います。

【保健所答弁】

旅館業の許可に当たっては、必ずしも申請者が建築物の所有者である必要はないことから、これまで登記情報を確認することは行っておりませんでしたが、状況を踏まえ、建築物の所有者を確認できる方法を検討してまいります。

また、住宅を旅館業施設とした場合の登記上の種類変更は適切に行われるべきものであることから、許可に係る事務の中で法令順守を促してまいります。

一方、添付書類として「私道の使用承諾書」を求めることは、申請者だけでなく、私道の共有者の方にも影響が及ぶことから、他市の状況も参考に「あり方検討委員会」の中で検討してまいります。

なお、申請予定施設の場所が私道沿いにある場合は、近隣住民と合わせて、私道沿いの住民へも事前説明を行うよう要綱に基づき指導してまいります。

【中谷】

添付書類について、建物の所有者を確認できる方法を検討していただけるとのこと、ありがとうございます。

また「私道の使用承諾書」についてですが、本市では、旅館業による私道についてのトラブルについて近隣住民から相談があった際に、当事者同士で話し合ってくださいとお伝えしておりますが、当事者同士の話し合いは、近隣住民の方にとって、心理的にも経済的も大変な負担となります。

もし仮に話し合いがまとまらない場合に裁判をするときは、裁判費用として50万円以上の負担となり、お金も気力も時間も奪われます。

こういった負担のしわ寄せを近隣住民が受けることのないよう、迅速なルールづくりを進めていただくことを強く要望します。

=書き起こしここまで=

同じような被害に悩んでいる方は、決して少なくありません。
「我慢するしかない」と諦める必要はありません。

市民の声が制度を変えます。
そして、その声を行政につなぐのが、地方議員の役割です。

困っている方をひとりにしない。
解決まで、一緒に向き合い、一緒に戦う議員として活動していきます。

これからも、市民の暮らしを守るために、粘り強く取り組んでまいります。

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